春の松の木から学ぶ、小さな命のはじまり
お散歩の途中、ふと立ち止まった松の木に、細長い“花のようなもの”がたくさん顔を出しているのを見つけました。よくよく見てみると、そばにはまだ青くて小さなまつぼっくりも…。「あぁ、今年もこの季節がやってきたなぁ」と、何だかうれしくなります。
春の松の木には、普段あまり目にしない変化がいくつもあります。今回見つけた「細長い花のようなもの」は、実は松の雄花(おばな)と呼ばれるものです。松は針葉樹で、花びらのある花を咲かせる植物とは少し違いますが、れっきとした“花”なのです。雄花は黄色っぽくてふさふさしており、この時期になると大量の花粉を飛ばすため、花粉症の人にはちょっと困りものですが、自然界の循環のなかでは大切な役目を担っています。

そして、雌花(めばな)としてつくられるのが、あのまつぼっくり。春のはじめには、まだ小さくて緑色で、まるで松の赤ちゃんのように枝にくっついています。これが季節をまたいで少しずつ成長し、秋から冬にかけて私たちがよく目にする茶色い立派なまつぼっくりに育っていくのです。
まつぼっくりの成熟には実は2年近くかかります。今見えている小さな緑のまつぼっくりは、来年の秋ごろにようやく私たちの知っている形に整います。自然の営みのなんと悠々としたことか。せかせかと忙しく暮らす私たちに「ゆっくりでいいんだよ」と語りかけてくれているような気がします。
ちなみに、まつぼっくりは英語で「pine cone(パインコーン)」と呼ばれますが、「cone=円すい形」の形状を指しているのだそう。確かに、じっくり観察するとその形はとても幾何学的で美しいですよね。拾ったまつぼっくりを乾かして、リースやオーナメントに使うのも楽しいものです。
津軽いろ葉のまわりには、こうした四季折々の発見がいっぱい。今日は何気なく目にした松の木の変化から、自然のリズムと、小さな命のはじまりを感じる一日になりました。
投稿者プロフィール

- 青森県五所川原市相内で生まれ育ちました。大学進学を機に東京に出て、今は相内と東京を行き来しながら、仕事と子育てに追われる毎日を送っています。相内の自然や人のあたたかさ、東京の華やかで刺激的な世界、そのどちらも大好きです。そんな私だからこそできる「津軽の恵み」の届け方があると思い、このプロジェクトを立ち上げました。どうぞよろしくお願いします。
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