また一つ大切なお店が灯りを消してしまった

皆さん、こんにちは。津軽いろ葉です。

今日は、少しさみしいお話を書かせてください。

京都にあるリョウリヤ ステファン パンテルが昨年閉店されていたと知って、しばらく言葉が出ませんでした。食べログでもすでに「閉店」と表示されていて、公式Instagramでも、2025年8月31日をもって閉店すること、そしてこの場所で11年半、祇園時代から数えると20年以上にわたって多くのお客様に支えられてきたことへの感謝が綴られていました。長く愛されてきたお店ほど、「なくなる」という言葉の重みが違います。

忘れられない、フォアグラと奈良漬けの一皿

このお店のことを思い出すと、真っ先に浮かぶのは、やはりフォアグラと奈良漬けのお料理です。

はじめてその組み合わせを聞いたときは、正直、少し驚きました。フォアグラに奈良漬け? と。けれど、ひと口いただけば、その驚きはすぐに感動へ変わります。濃厚でとろけるようなフォアグラに、奈良漬けの発酵の香りと食感が寄り添って、そこに南国フルーツのソースが重なる。その意外性が、ただ珍しいだけではなく、きちんと美味しさとして完成しているのです。ネットの口コミでも「唸るしかない」と評されていましたし、いろいろなメディアでも、この一皿はお店の看板料理として紹介されていました。

京都の食文化と、フレンチの技法が出会った場所

リョウリヤ ステファン パンテルというお店の魅力は、単にフレンチが美味しい、という一言では言い切れない気がします。

京都の食文化にある、相性のよいものを組み合わせて味の相乗効果を生む考え方に、フランスで腕を磨いた料理人の感性が重なって生まれた一皿。それが、あのフォアグラと奈良漬けなのだと思うと、このお店はただ料理を出す場所ではなく、京都とフランス、伝統と自由な発想が美しく出会う場所だったのだと、あらためて感じます。

閉店の知らせが、ひとごとに思えない理由

もちろん、今回の閉店について、私にはお店それぞれの事情まではわかりません。だから、理由を勝手に決めつけることはしたくありません。

ただ、最近の飲食店業界を見ていると、本当に素敵なお店の閉店が続いているように感じます。帝国データバンクの資料でも、中小規模の飲食店は、食材費や人件費、光熱費の高騰に加えて、都心部を中心とした賃料負担の高まりにも直面しているとされています。お店を続けるということは、料理が美味しいだけではどうにもならない現実と向き合い続けることでもあるのだと、こういう知らせに触れるたびに思わされます。人手不足の話もよく耳にしますし、賃貸の更新ひとつ取っても、以前より難しくなっているのだろうな、と感じることが増えました。だからこそ、リョウリヤ ステファン パンテルさんの閉店も、なおさら胸にこたえるのです。

美味しいお店は、そこにあるだけで街の宝物

お店というのは、不思議なものですね。

ただ食事をする場所、ではないのです。そこで誰かが大切な日を過ごしたり、季節を感じたり、忘れられない一皿に出会ったりする。その積み重ねが、お店を“場所”ではなく“記憶”にしていくのだと思います。

だから、好きなお店が閉店すると聞くと、ひとつのレストランがなくなる以上の喪失感があります。あの味が、あの空気が、あの時間が、もう同じ形では戻ってこないのだと思うと、本当に残念でなりません。

ありがとう、ステファンパンテル

京都には、美味しいお店がたくさんあります。けれど、その中でもステファン パンテルは、きっと多くの人にとって「特別」なお店だったのではないでしょうか。

フォアグラと奈良漬け。
あの一皿のおいしさと驚きは、これからもずっと記憶に残り続ける気がします。

長いあいだ、たくさんの人に感動を届けてくださって、本当にありがとうございました。

投稿者プロフィール

Koharun
Koharun
青森県五所川原市相内で生まれ育ちました。大学進学を機に東京に出て、今は相内と東京を行き来しながら、仕事と子育てに追われる毎日を送っています。相内の自然や人のあたたかさ、東京の華やかで刺激的な世界、そのどちらも大好きです。そんな私だからこそできる「津軽の恵み」の届け方があると思い、このプロジェクトを立ち上げました。どうぞよろしくお願いします。