【限定募集】思い出のアンズの木を託したい。「アンズ里親制度 in 奥津軽」で、家族の物語を紡ぎませんか?
今日は少し特別な、そして温かいお願いがあって筆を執りました。
皆様に、私の大切な「アンズの木」のオーナーになっていただきたいのです。

祖父が手塩にかけた、思い出のアンズの木
私の祖父は、本当に畑仕事が好きな人でした。土に触れること、植物の息吹を感じること、それらが祖父の生き甲斐そのものだったように思います。このアンズの木も、祖父がまだ若く、体力に満ち溢れていた頃に、丁寧に植え、大切に育ててきたものです。
幼い頃の私は、祖父の大きな背中を追って、よくこのアンズの木がある畑に遊びに行っていました。祖父が手にする剪定バサミのリズミカルな音、肥料を撒く時の土の香り、そして何よりも、一つ一つの実に優しく語りかけるような祖父のまなざしを、今でも鮮明に覚えています。
祖父は毎日、日の出とともに畑に出て、まだ夜露が残る葉を慈しむように見つめ、枝の伸び具合や実のつき方をじっくりと観察していました。そして、熟練の技で剪定を行い、適切な時期に肥料を与え、時には土を耕し、まるで我が子を育てるように丹精を込めていたのです。
その努力が実を結ぶ夏。アンズの木は、それまでの静けさが嘘のように、見事な黄色い実をたわわに実らせました。陽の光をいっぱいに浴びてキラキラと輝くその実は、まるで宝石のようでした。指でそっと触れると、柔らかい毛が心地よく、ずっしりとした重みを感じます。かぶりつけば、ふわふわの皮の中から溢れる甘酸っぱい果汁。その爽やかな香りが、口いっぱいに広がり、夏の暑さを忘れさせてくれる至福の味でした。
祖父が育てたアンズは、毎年、近所でも評判になるほどの大粒で美しい実ばかりでした。家族みんなで収穫し、食卓には生のまま並ぶのはもちろん、祖母が作る甘酸っぱいジャムや、冷たいコンポート、時には杏酒になり、その年の夏の思い出とともに、私たち家族の食卓を豊かに彩ってくれました。あの頃の杏子は、ただの果物ではなく、祖父の愛情と、家族の笑顔が凝縮された、かけがえのない宝物だったのです。
時の流れと、記憶の木の変化
しかし、月日は容赦なく流れます。祖父も歳を重ね、あの頃のように毎日畑に出て、丹精込めて手入れをすることが難しくなりました。最初は私が祖父の代わりに手入れを試みましたが、祖父が長年培ってきた経験と、木の声を聞き分けるような感覚には、到底及ばないことを痛感しました。
現在、アンズの木は、それでも健気に毎年実をつけてくれます。しかし、以前のような見事な実をつけることは難しくなりました。枝は伸び放題になり、実の一つ一つは小さく、色づきも均一ではありません。鳥たちに先に食べられてしまうことも増え、祖父が手塩にかけて育てていた頃の、あの生命力にあふれた姿とは、明らかに異なっています。
私にとってこのアンズの木は、単なる果物の木ではありません。それは祖父との思い出そのものであり、祖父が私に遺してくれた大切な形見です。この木が、かつての輝きを失っていく姿を見るたび、私の心は締め付けられるように悲しくなります。「このままではいけない、どうにかして、祖父が誇りに思っていたあのアンズの木を、もう一度輝かせたい!」その思いが、日に日に募っていきました。
希望の光:「アンズ里親制度 in 奥津軽」の誕生
そんな中で、一つのアイデアが生まれました。私一人の力では足りないのなら、もっと多くの方の知恵と力を借りて、このアンズの木を再生させることはできないだろうか? そして、都会で暮らす方々と、地方の自然、そして祖父の思いを繋ぐ、新しい形の「共生」の道はないだろうか?
そうして生まれたのが、この度、皆さんに提案させていただきたい「アンズ里親制度 in 奥津軽」です。
この制度は、都会にお住まいのご家族で、このアンズの木の「一年限定オーナー」になってくださる方を募集するものです。私たちは、この木を家族の一員のように大切に育て、共に未来を育んでくださる方を求めています。「里親」という名前に込めたのは、木もまた、愛情を注いでくれる新たな家族を求めている、という願いです。
「アンズ里親制度 in 奥津軽」の概要
- オーナー期間と費用: 1年間、3万円
- 里親の役割: 里親になってくださった方には、このアンズの木を元気にするための「育て方のアドバイス」をお願いしたいと考えております。具体的には、肥料をあげるタイミングや種類、剪定の方法、病害虫対策などについて、皆さんの持つ知識や経験、あるいはインターネットや書籍で得た情報など、どんな小さなことでも構いませんので、ぜひ知恵を貸していただきたいのです。私たちは、皆さんの助言を可能な限り反映し、愛情を込めて手入れをしていきます。
- 私たちの約束: 里親の皆さんの貴重なアドバイスを無駄にしないよう、私たちは真摯に受け止め、実践していきます。そして、定期的にアンズの木の成長の様子を写真や動画、ブログ記事を通じてご報告いたします。日々の小さな変化から、季節ごとの成長まで、まるでご自身の庭の木のように、遠く離れた場所からでも木の成長を感じていただけるよう努めます。
収穫の喜びを分かち合い、津軽で育む交流の絆
そして、この制度の一番の魅力は、何と言っても「収穫の喜び」を分かち合えることです。皆さんの知恵と、私たちの愛情が実を結んだアンズは、出来上がった時期に、最高の状態になったものを選び、宅配便でご自宅までお送りします。祖父が育てたあの頃のような、大粒で甘酸っぱい、最高の味のアンズを、ぜひご家族皆様で味わっていただきたいと願っています。お子様にとっては、自分が関わった木から届いた果物は、きっと特別な味になることでしょう。食育の一環としても、これほど素晴らしい体験は他にはないのではないでしょうか。
さらに、この制度を通じて、都会と地方の温かい交流が生まれることも、私たちの大きな願いです。
津軽半島、そして五所川原市までお越しになる際には、事前に日程をお知らせいただければ、喜んでアンズの木までご案内させていただきます。実際に自分の「里子」であるアンズの木に会いに来て、その成長を肌で感じてみませんか? 季節によっては、花が咲き誇る美しい時期や、実が色づき始めるワクワクする時期など、様々な表情を見せてくれるはずです。
そして、もしお天気が良ければ、畑で一緒に青森の美味しいお米で作ったおにぎりを食べましょう。広々とした空の下、岩木山を望みながら、アンズの木を囲んで語り合う時間は、きっと忘れられない思い出になるはずです。収穫期であれば、もしかしたら少しだけ、ご自身の木の実を収穫するお手伝いもできるかもしれません。地元の人との交流を通じて、この土地の豊かな自然や文化に触れていただくことで、五所川原が皆さんの「第二のふるさと」となることを心から願っています。
「アンズ里親制度」が描く未来
この「アンズ里親制度」は、単なる果物のオーナー制度に留まりません。
それは、
- 記憶の木の再生: 祖父の思いが込められたアンズの木を、もう一度輝かせ、その命を未来へと繋ぐ試みです。
- 新しい食育の形: お子様たちが、食べ物がどのように育ち、誰かの手によって大切にされているのかを学び、自然の恵みと生産者の苦労に感謝する心を育む場となります。
- 地域活性化と文化継承: 過疎化が進む農村に新たな交流を生み出し、地域の特産物であるアンズ栽培の伝統と技術を未来へと繋ぐ架け橋となります。
- 人と人との繋がり: 都市と農村、生産者と消費者、そして里親同士がアンズを介して絆を深め、温かいコミュニティを育む場を提供します。
- 環境と共生の意識: 持続可能な農業の実践を支援し、自然環境への配慮、生物多様性の保全といった、現代社会に不可欠な意識を共有するきっかけとなります。
この制度は、アンズの実りを分かち合うだけでなく、世代を超えた記憶、地域を支える温かい心、そして地球と共に生きる未来を創造する、希望に満ちた取り組みなのです。
最後に
このアンズの木は、私の祖父との大切な思い出が詰まった、かけがえのない宝物です。だからこそ、愛情を込めて育ててくれる方に、このアンズの木を託したい。
もし、この記事を読んで、少しでも「アンズ里親制度」に興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
皆様からの温かいご支援を、心よりお待ちしております。
投稿者プロフィール

- 青森県五所川原市相内で生まれ育ちました。大学進学を機に東京に出て、今は相内と東京を行き来しながら、仕事と子育てに追われる毎日を送っています。相内の自然や人のあたたかさ、東京の華やかで刺激的な世界、そのどちらも大好きです。そんな私だからこそできる「津軽の恵み」の届け方があると思い、このプロジェクトを立ち上げました。どうぞよろしくお願いします。
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